大家さんから契約を更新しないと言われたら,アパ ートを出ていかなけばならないの?

私は,2年間の契約期間を定めた賃貸借契約を交わしアパートを借り居住しております。
契約期限満了まであと1ヶ月となったある日,突然大家さんから,
「アパートが古くなり建て替えることにした。契約更新について契約書に,『賃貸人と賃借人は,協議のうえ更新できます。』と書かれおり,更新をする意思はないので,期限が満了したら出て行ってくれ。」
と言われました。
大家さんから更新契約をしないと言われた以上,1ヶ月後にアパートを出て行かなければならないのでしょうか。
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契約書に,「賃貸人と賃借人は,協議のうえ更新できます。」と書かれており,契約は当事者が合意すれば自由にできるという契約自由の原則からすると,このような約束を大家さんとした以上,あなたは,契約期限が満了する1ヶ月後にアパートから出て行かなければならないと考える余地もあります。
しかし,建物賃借人を保護する法律である借地借家法は,
建物賃貸人が,期限の満了の1年前から6ヶ月前までの間に借家人に対し契約を更新しない旨の通知をしなければ,従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす
と定めております。
あなたは大家さんと2年間の契約期間を定めた期限の定めのある建物賃貸借契約をしていることから,この定めが適用され,あなたは大家さんと更新契約を取り交わさなくても,期限満了後は,アパートの賃貸借契約が法律上当然更新されることになります。
「賃貸人と賃借人は,協議のうえ更新できます。」
という契約書の条項は,建物賃借人に不利なものとして無効であり,この条項があるからと言って,これに拘束されることはありません。
ただし,更新後の賃貸借契約は,従前の契約と同一の条件とあっても,その期限は2年間ではなく期限の定めのないものとなり,アパートの建て替えの必要性,立退料の提供等の正当事由があれば,いつでも,大家さんは賃貸借契約の解約を申し入れができることになり,解約の申し入れから6ヶ月を経過すると賃貸借契約は終了することになります。
なお,ここで注意すべきことは,期限満了後に契約が終了したとして大家さんが家賃の受取りを拒絶したときの対応です。
大家さんが家賃を受け取らないからといって,そのまま放置しておくと,賃料不払いで賃貸借契約を解除されてしまいます。
大家さんから家賃の受取りを拒絶されたときは,賃料不払いを防ぐため法務局へ家賃の供託手続を行う必要があります。