成績不良を理由とする解雇

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私の勤務している会社では、「労働能力が劣り、向上の見込みがない場合」には解雇する旨の就業規則の規定があります。

人事考課の結果が数値化されて0から10の11段階ですが、全体の平均点は5以下になるように相対評価がされています。

このたび、人事考課が3以下の従業員を対象として各部署でリストアップされ、56名に対して退職勧奨が行われました。

私が退職勧告に応じないでいたところ、会社は上記の就業規則の解雇事由にあたるとして、解雇されました。

私はこのような解雇を承諾できません

 

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1 解雇権の濫用と就業規則の解雇規定

 使用者は自由に労働者を解雇できるわけではなく、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働契約法16条)とされています。

 また、就業規則の解雇規定も、この解雇権濫用の考え方に従って解釈されます

 仮にいつでも解雇できるとの就業規則の規定があった場合勤務成績が劣る場合には解雇するとの規定がある場合でも、それは労働契約法16条に従って一般的社会的水準に読み替えられるということです。

 

 

2 成績不良を理由とする解雇

 今回のご質問の場合、11段階での相対評価が3であるということですから、成績が良くないということは言えますが、だからといってそれだけで解雇できるわけではありません

 就業規則の「労働能力が劣り、向上の見込みがないと認めたとき。」にあたるのを、「平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、著しく労働能率が劣り、しかも向上の見込みがないときでなければならない。」と読むべきだと判断したものとして、セガ・エンタープライゼス事件の決定(東京地決平11.10.15労働判例770号34頁)があります。

 この事件では、当該労働者は人事考課で下位10%未満の考課順位であるとされましたが、裁判所は、もしそれだけで解雇事由にあたるのであれば、毎年一定割合の従業員を解雇できてしまうことになるではないかとして、「常に相対的に考課順位の低い者の解雇を許容するものと解することはできないと判断しています。

 そうすると、今回のご質問の場合、単に成績が低位にあることだけでは解雇できないということになりそうです。

 ただし、何度注意を受けても改めないというような事情があったり、その他の事情(例えば大きなミスをしたのに責任転嫁をして反省しない)があれば、それと併せて解雇事由にあたってしまうこともあり得ます。

 

 

3 退職勧奨

 今回のご質問の場合には退職勧奨を受けたがこれを承諾しなかったとのことです。

 退職勧奨に応ずるかどうかは自由です。

 労働者がいったん明確な拒否をしているにもかかわらず、新たな説得材料もないままさらに執拗に退職勧奨をする場合には、自由な意思形成を妨げるものとして不法行為が成立する場合もあります(下関商業事件、最1小判昭和55.7.10労働判例345号20頁)。

 

 

4 まとめ

 今回のご質問の場合には、退職勧奨の段階から弁護士や労働組合に相談されることをお勧めします。

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