子供の連れ去り

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私は,夫と長男(3歳)の3人家族です。

私と夫は,別居し,離婚協議中でしたが,別居から半年程経った頃,夫が保育園から長男を連れ去ってしまいました

夫に連絡しても,「大丈夫」「心配するな」というばかりで,子供と会うことも,話をすることもできません。

夫は仕事人間で,これまで子供の面倒はほとんど私が見てきました。夫が子供の面倒を見られるとは思えません。子供が心配です。

子供を連れ戻すにはどうしたら良いでしょうか?

 

 

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(1)子供の連れ去りは,連れ去られた親や子供に大きな精神的ダメージを与えるものです。

そして,ただでさえヒビの入っていた夫婦間の信頼関係を決定的に破壊してしまいます

そうなってしまうと,その後の離婚協議や子供の成長にも悪影響ばかりが残ります

 

(2)子供の連れ去りに対しては,裁判所も厳しい態度で臨むようになっています。

 後に述べる監護者を決定するにあたっても,子供の連れ去りをしたという点について,その親はマイナスに扱われると考えて良いでしょう

 また,父親であっても,子供の連れ去りは,刑法224条「未成年者略取及び誘拐罪」(法定刑:懲役3月以上7年以下の懲役)に該当し得ます

 実際に,離婚協議中に子供を連れ去った父親が,未成年者略取罪で有罪判決を受けた事案もあります(最決平成17年12月6日)。

 

(1)さて,設問の事案で,子供を連れ戻すためにはどうすれば良いかですが,夫と交渉するというのも一つですが,早急に「子の監護者の指定及び引渡し」の「審判」「保全処分」を家庭裁判所に申し立てるのが良いと考えます。

 

(2)「監護者」というのは,子供と共に生活し,子供の面倒を見る人という意味です。

離婚が成立していない場合,父親と母親は共同親権者となりますが,両親が別居しているときに,どちらが子供を引き取って面倒を見るかを決めるのが上記の手続です。

 「審判」は最終的な決定ですが,「保全処分」というのはその前段階で迅速に暫定的な判断を出してもらうというものです

 

(3)子供の連れ去り事案における保全処分では,連れ去り前の状態に戻すことが重視され,連れ去り前の状態に戻すと問題がある(例えば虐待がある)というような場合でない限り,子供を戻しなさいという判断がなされる可能性が高いです

実際にそのように判断している裁判例も多数あります(東京高決平成20年12月18日)。

 

(4)設問の事案でも,妻を監護者と指定し,妻に子供達を引き渡しなさいという保全処分決定が出る可能性は高いと思いますが,決定が出た後は,その決定に従うよう夫を促し,それでも夫が引き渡さない場合には,裁判所の力を借りて,強制的に引き渡してもらう強制執行の手続を採ることになります

 

(5)その後は,最終的な審判でも妻が監護者として認められるよう,従前の監護状況等を裁判所で主張していきます。

 

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(1)子供を連れ去られたときは,精神的にもショックでしょうし,相手を許せないという気持ちが出てくると思います

(2)しかし,自身で子供を連れ戻しに行って,「子の奪い合い」になるような事態は避けなければなりません

(3)裁判所の手続を利用するのは迂遠に感じるかもしれませんがそれが一番の近道ですし,子供のためにも良いと思います。

  

 相手と同じ土俵に乗らないよう注意し,冷静に行動できるよう専門家にご相談することをお勧めいたします。

 

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