慎重に:居住資産等の生前贈与(相続時精算課税)

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yachin

 贈与税のなかに、「相続時精算課税の贈与」という制度があります。この制度は、相続時に贈与を受けた財産と相続した財産を合算して相続税額を計算するものです。贈与時には2,500万円の特別控除が有り、2,500万円を超えた額に対して20%の贈与税が課されます。贈与税を支払った場合は、その支払った贈与税が相続税額から控除されます(贈与税を相続時に精算する)。
一見、2,500万円の控除があるので、相続まで課税は繰り延べられることから、有利なように見えます。しかし、落とし穴があります。

一番の落とし穴は、「相続税精算課税」を利用した財産は、相続税の評価の特例は利用できないことです。このことから、生計を一にする親族から居住用財産の贈与を受けると、小規模宅地の特例(居住用宅地の80%評価減額)は利用できません。贈与されたときの財産評価は相続ではないので、特例の対象にはなりません(路線価等の評価額)。

計算例で見てみましょう。以下の例では、相続税額が216万円不利となります。

相続時精算課税を利用して、両親と同居している土地240㎡:路線価20万円×240㎡=4,800万円の土地を贈与されたとします。贈与時は、(4,800万円-2,500万円)×20%=460万円が課税されます。

相続時、土地以外の資産が5,000万円あったとして、土地の路線価に変化はないとします。相続は法定相続、法定相続人は3人とします。

相続時精算課税を利用すると、

相続税財産評価額:(5,000万円+土地4,800万円)=9,800万円

相続税課税対象額:9,800万円-基礎控除(3,000万円+600万円×3人)=5,000万円

相続税額:5,000万円×20%-200万円=800万円

相続時精算課税分控除後:800万円-460万円=340万円の相続税額となります。

生前贈与を行わず、相続時に居住用財産を相続した場合は、

土地の評価額が80%減額されるので、

相続財産評価額:(5,000万円+4,800万円-4,800万円×80%)=5,960万円

相続税課税対象額:5,960万円-基礎控除(3,000万円+600万円×3人)=1,160万円

相続税額:1,160万円×15%-50万円=124万円となります。

どうでしょう?216万円の差が出ました。相続税精算課税は、居住用財産に適用すると損、ということが判りましたね。

相続税精算課税は相続時に特例の対象とならない財産で評価額の上昇が見込まれる財産を対象にしないと有利な結果は得られません。

上のケースで暦年課税(課税された年に贈与税を申告する)を採用すると、

贈与税は(4,800万円-基礎控除110万円)×50%-225万円=2,120万円

となります。贈与することで土地の相続がなくなりますが、贈与税の額が大きく、有利とは言えません。

このように贈与税と相続税の組み合わせは事前に相続時のシミュレーションが必要な場合が多く見受けられます。是非、専門家にご相談下さい。弊所では簡単なご相談は無料で承ります。

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