交通事故で膝関節靱帯損傷となった場合に,後遺障害となることがあるのでしょうか。

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スキージャンプ選手

膝関節靱帯損傷とは,膝関節を支える靱帯が損傷することです。

早期に適切な治療がされれば,後遺障害が生じることはありません。

しかし,膝関節靱帯は,複雑な構造をしていることから万全の治療をしたとしても完全には治らないこともあり得ます。
その結果として運動制限や痛みが残ることもあり,膝関節が不安定となることもあります。

多くは後遺障害12級と考えられますが10級が認定されることもあり得ます。

1 膝関節の構造
膝関節は,大腿骨顆部,膝蓋骨,脛骨顆部との間に形成され,関節包,靱帯がこれに結合しています。
つまり,骨と言うことで言えば,大腿骨・脛骨そして蓋のような膝蓋骨で構成されており関節としての動きを果たすために靱帯が大きな役割をしています。
さらに,脛骨顆軟骨面には内・外側に半月板が乗っています。
この半月板も重要です。

2 膝関節の靱帯の種類と役割
靱帯には,十字靱帯,内側側副靱帯,外側側副靱帯があります。
さらに十字靱帯は,前十字靱帯と後十字靱帯に区別されます。

十字靱帯は,関節を内側で前後にクロスして大腿骨と脛骨を結んでいます。
そして,前十字靱帯は,脛骨の前方への滑りを防ぎ,後十字靱帯は脛骨の後方への滑りを防ぐものです。
 
また,内側側副靱帯は,関節内側の安定性を保ち,外反を防ぐものであり,他方では外側側副靱帯は,関節外側の安定性を保ち,内反を防ぐものです。

靱帯損傷は外傷で起こりやすく,交通事故では外力が加わるもの,特に物体や人が膝に直接当たり損傷を起こす接触損傷のタイプが多いものです。

3 十字靱帯損傷
十字靱帯損傷の中でも,後十字靱帯損傷は,大腿骨に対して脛骨上端が後方に押されたときに生じることが多くあります。
自動車事故でダッシュボードにぶつけたような場合です。

4 側側副靱帯損傷
多くは内側側側副靱帯の損傷です。
症状として内外側側側副靱帯に断裂が生じた場合は,断裂側の膝関節支持が脱落する結果として,膝関節の左右の動揺性(不安定性)が生じます。

5 靱帯損傷の治療について
膝関節の不安定性がない場合には,保存的治療(装具あるいはギプス固定)が行われます。
受傷直後には関節内の出血防止や,損傷部の安静を保持するために1~2週程度ギプスやシーネを用いて関節を固定します。
その後はサポーターや装具を用いて関節を動かす訓練をします。損傷した
靱帯が癒合するのは約3週,その後の回復のためにはさらに3週間の,併せて6週間は必要とされています。
この場合には,大事に至らず後遺障害の心配もないと言えます。

手術的治療は,靱帯断裂があり,著しい不安定性のあるものについて,靱帯修復術や靱帯再建術を行います。
この場合は,長期間固定することで膝関節が拘縮してしまう恐れがあるために,それを防止するため,装具を装着しながらも関節を動かすことが必要とされます。

十字靱帯損傷と側側副靱帯損傷とが合併した場合は,複合靱帯損傷となりやすいといわれます。複合靱帯損傷の治療では,約4~6ヶ月間の長期のリハビリが必要となることもあります。

6 膝関節靱帯損傷の場合の後遺障害等級
いわゆる下肢の後遺障害の認定基準に従います。可動域制限が残る場合と残らない場合があり得ます。
可動域制限が認定基準に該当せずとも,神経症状が残る可能性があります。

10級11号=1関節の著しい機能障害(可動域2分の1以下)
12級7号 =1関節の機能に障害を残すもの(可動域4分の3以下)

12級13号=局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 =局部に頑固な神経症状を残すもの

 

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