事業所得者の休業損害は,どのように計算されるのでしょうか。また,問題となるのは,どのような点でしょうか。

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相談をする女性同士

1 そもそも事業所得者とは何でしょうか。
事業所得者とは,法人化していないで,個人名で事業を行っている人です。
個人事業主,自営とか自由業者も同じことです。

2 基礎収入・計算方法はどうでしょうか。
原則としては,事故前年の確定申告書における所得額によります。

資料としては,税務署の受付印がある確定申告書の控えによります。
控えに受付日印がないときや,控えが鉛筆書きであるときは,さらに市区町村長の納税証明書または課税証明書(所得額が記載されたものでなければなりません。)を出す必要が出てきます。
但し,収入額が年ごとに変動がある場合については,事故前の数年分を用いて平均額を算定することもあります。

計算方法は,売上額から現価と経費を引いた残額を前提とするのです。
固定経費は休業をしても,支出をしなければならないものです。
具体的には家賃・人件費等です。通常は,相当性があれば休業損害として認められます。そのためには,具体的な支払っていることを証明する資料が必要となります。

3 申告に問題がある場合(無申告・過少申告・赤字申告)
(1)無申告・過少申告
交渉段階でもそうですが,裁判となったとしても厳しい状況となります。
確定申告をしているならば原則として申告書の控えだけで認められるものが,それがないがために別の資料を用いて立証をしなければならないからです。

別の資料としては収入・経費等を示すかなり広範なものとならざるを得ないものです。

裁判所としては,税金を正しく納めていないのに,賠償における「もらい得」を防ぐために厳格な証明を必要とするということです。

(2)赤字申告
無申告・過少申告と同じように厳格な証明が必要です。

しかし,正しく申告をしていることにより,多少は裁判所の評価としては無申告・過少申告とは,受け止め方がケースによりますが異なると思われます。
会計帳簿・預金通帳等による事業と金銭の流れの実態が証明されて相当の収入があると認定されたならば賃金センサスの範囲で認められることがあります。
だが,これは立証に成功した場合であり,常に賃金センサスの範囲なら大丈夫という意味ではありません。御注意下さい。

4 本人の寄与分(休業損害の対象)
休業損害の対象となるのは,本人の寄与分としての利益のみです。
つまり,事業所得に,本人以外の家族とか従業員の利益が含まれているならば,それは除外されてしまいます。
この寄与分は割合で認定されるのですが,実は極めて困難な作業です。
事業内容・規模あるいは家族や従業員の関与の程度とか,様々な要素が考えられます。
後遺障害の逸失利益に関してですが,裁判例では5割,6割,7割と言ったものが見られますが,一般的な法則性を見出すことは困難で,事案毎の具体的な判断と言わざるを得ません。

5 まとめ
事業所得者の休業損害は基礎収入について問題となりますが,実は就労ができなかったのか,制限されていたのか,その期間と程度についても問題となります。
それは,「働く時間」あるいは「働き方」がサラリーマンと異なり自己管理に任されているのです。
実際には,傷害の部位・程度によって医学的な観点も考慮されながら就労に,どこまで影響があったのか推認されると言うことになろうかと思います。

 

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