骨盤骨変形は,どのようして起こるのですか。その場合には後遺障害はどうなりますか。逸失利益は認められますか。

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ヨガ写真2

骨盤(骨)変形になった場合に,後遺障害12級5号が認定される可能性があります。
しかし,変形の理由によっては,労働能力喪失が否定されることがあります。

1 骨盤骨折とはどういうものですか。

骨盤骨は頑丈で折れにくいものですが,交通事故により多発するようになりました。
交通事故で強大な外力によって骨盤骨折が生じるために合併した損傷にもなりやすく,また骨盤骨折自体だけではなく,骨盤腔内の血管損傷による出血も治療においては問題となります。
骨盤は,仙骨と寛骨(成人では,腸骨・坐骨・恥骨が癒合して寛骨となっています。)からなっている環状構造をしていて,下肢からの力を受け止める役割をしています。
従って,環状構造が破綻をする骨盤輪骨折では,手術を含めた積極的な治療が必要となります。
また,骨盤には,仙腸関節と股関節があり,これらの関節の骨折・脱臼は正確な整復が必要となります。
特に股関節の臼蓋を大腿骨頭が突き破ってしまう中心性股関節脱臼骨折は,観血的整復固定術(手術的に傷害部を開いて行う整復固定術です。)の対象となります。

2 骨盤変形の原因となるものは何ですか。

骨盤変形の原因としては,骨盤骨折の癒合がうまくいかないで変形が残る場合と,体の他の部位に使うために骨盤骨(腸骨)を採取したために生じるものとがあります。

3 骨盤(骨)変形と後遺障害(後遺症)の関係はどうなりますか。

治療後の骨の癒合(結合)の状態が悪く,変形癒合したりしたり,腸骨を採取して変形が残ったりした場合には,「骨盤骨に著しい変形を残すもの」として後遺障害12級5号となります。
しかし,体幹骨の「著しい変形を残すもの」として後遺障害が認定されるためには「著しい変形」に当然ながら該当しなければなりません。
「著しい変形」とは,裸体になったときに変形が明らかに分かる程度に限定されます。そこで,レントゲン写真ではじめて変形が発見される程度では該当しないことになります。

なお,骨盤骨に高度の変形が生じたために股関節が転位して中心性脱臼などにより可動域制限つまり運動障害(12級7号)が生じた場合は,併合して11級となります。

4 骨盤骨の変形による下肢短縮との関係はどうなりますか。

骨盤骨の変形によって,下肢そのものには異常はないけれども,下肢を短縮したと同じような障害(13級8号,10級8号,8級5号)が残ることがあります。
しかしこの場合は併合ができず,いずれか重い方の等級を適用しなければならないのです。それは,変形の結果として短縮となってしまったために,後遺障害としては一つだけという考え方からです。
従って,下肢短縮の程度に応じて,「骨盤骨に著しい変形を残すもの」として後遺障害12級5号よりも,重い等級である10級8号,8級5号に該当する場合には,10級8号,8級5号のみということになります。

5 骨盤変形障害では労働能力喪失,つまり逸失利益が否定されるこがあるのですか。

「骨盤骨に著しい変形を残すもの」として後遺障害12級5号に該当したとしても労働能力喪失には実際上は影響しないとして争いの対象になりやすいと言えます。

とりわけ,腸骨を採取したことによる変形が12級5号に該当すると認定されても,労働能力喪失を否定して逸失利益を認めない裁判例が多いと言えます。

その理由としては,腸骨を採取したからとしても下肢の可動域制限や歩行障害といった日常動作の支障が生じていないことが挙げられています。
但し,骨盤骨採取による変形であっても,現実に支障がある身体状況があれば,労働能力喪失を認める判決もあります。

 

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