鎖骨骨折の場合に,後遺障害(後遺症)となる可能性はありますか。またなるとして,等級や賠償はどうなりますか。

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やり投げ男性写真

鎖骨骨折後の後遺障害(後遺症)は「鎖骨に著しい変形を残すもの」として後遺障害12級5号となる可能性があります。
しかし「著しい変形」とは裸体になったときに変形が明らかに分かる程度に限定されます。
そこで,レントゲン写真ではじめて変形が発見される程度では該当しないことになります。

鎖骨骨折後の変形障害で後遺障害が認められても,労働能力への実際的な影響が無いものとして逸失利益が否定されることがあります。
しかし,職種等により(1)変形自体(2)肩関節の運動障害(3)疼痛が後遺障害と認められる可能性があります。

1 鎖骨骨折の治療は,どうなりますか。

鎖骨はS字状に湾曲していて,大変に折れやすい骨です。
保存治療が原則とされています。
つまり両肩にタスキを掛けたようにする8字包帯や,鎖骨バンド,絆創膏固定が行われ,旧来のギプス固定は次第に減っているとも言われています。
鎖骨の骨癒合は,通常でおよそ4週とされています。

転位が高度で整復が不能であったり,第3骨片や肩鎖関節脱臼を伴う場合,あるいは鎖骨下動脈及び腕神経叢・肺・胸膜を同時に損傷した場合には手術が必要となり得ます。
その場合には,キルシュナー鋼線で内側から骨接合を行ったりします。

2 鎖骨骨折後に後遺障害(後遺症)は認められますか。

 鎖骨骨折だけでは,後遺障害とはなりません。治療後の骨の癒合(結合)の状態が悪く,不幸にして変形癒合したりした場合には,「鎖骨に著しい変形を残すもの」として後遺障害12級5号となります。
しかし,後遺障害が認定されるためには「著しい変形」に当然ながら該当しなければなりません。
裸体になったときに変形が明らかに分かる程度に限定されます。そこで,レントゲン写真ではじめて変形が発見される程度では該当しないことになります。
なお,合併症として「鎖骨に著しい変形を残すもの」として後遺障害12級5号に該当することに加えて,肩関節にも運動障害(12級6号)が残った場合には併合して11級となります。

3 鎖骨変形障害では労働能力喪失(=逸失利益)が認められないのですか。

「鎖骨に著しい変形を残すもの」として後遺障害12級5号に該当するとしても,労働能力喪失には実際上は影響しないとして争いの対象になりやすいと言えます。判決も逸失利益を否定したものがあります。
その理由としては,鎖骨変形それ自体では機能障害とは言えないと言うことにあります。
 したがって,原則としては,否定される可能性があると言うべきです。

4 鎖骨変形障害自体で労働能力喪失が認められるのは,どのような場合ですか。

(1)「著しい変形」とは,裸体になったときに変形が明らかに分かる程度に限定されますすると,モデルのような容姿自体が仕事の上で重要性がある場合には,労働能力喪失を肯定できると考えられます。

(2)肩関節可動域制限があるもの鎖骨変形は直接には肩関節の機能障害ではありません。しかし,鎖骨変形が肩関節に与える影響は否定できません。だが,その場合も12級6号の健側の4分の3以下に制限されたという程度に至らないことが多いと思います。
但し,主に肉体的労働者,スポーツ選手等においては,現実の労働能力低下を肯定できるのではないかと考えられます。そのことから,労働能力喪失を肯定できると言えます。

(3)疼痛を伴う場合鎖骨変形は疼痛を伴うことが多いとされ,その場合の疼痛も変形障害に含まれるとされています。しかし,その疼痛が労働に意欲や効率の面で影響していることもあるかと思います。
そのような場合には,変形障害だからと言うことで労働能力喪失を否定することはできないと考えます。具体的な仕事の内容と疼痛の与える影響を主張立証することで,労働能力喪失を肯定できると考えます。

交通事故による鎖骨骨折は事例としては多いと言えます。

 

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