頚(頸)髄損傷とは何ですか。後遺障害(後遺症)は,どうなりますか。

8,024 read.
サッカー選手シルエット

1  頚髄損傷とはなにですか

頚(頸)髄は,首の部分にあります。頚とは首の意味です。要するに頚(頸)髄は,首の骨の髄です。
神経には,末梢神経と中枢神経があります。
頚髄は神経で言うと中枢です。とても大事なものなのです。そのため交通事故で傷つくと重症となります。
最悪の場合には死亡したり,辛うじて命を取り留めても寝たきりになる可能性があります。
頚椎捻挫,いわゆる「むち打ち」でも神経が損傷することがあります。
しかし,それは末梢神経の損傷です。
頚髄損傷は広い概念では脊髄損傷であり中枢神経損傷であって,質的に異なります。

2 頚髄損傷の分類はどうなりますか

頚髄損傷は,骨折・脱臼を伴う場合とそうでない場合があります。
そして,診断としては,損傷された頚髄の位置(高位と言うようですが)と完全な麻痺か,不完全(不全)麻痺かが,あります。つまり,4とおりあるのです。

しかし,骨折・脱臼を伴う場合は,ほとんど完全な麻痺となります。不完全な麻痺の場合は,少ないとされているようです。
従って,骨折・脱臼を伴う場合は,一般的には深刻な状況になることが多いと言えそうです。

骨折・脱臼を伴なわない場合には,多くは,中心性頚髄損傷と呼ばれるものです。

3 頚髄損傷の特徴はありますか

脊髄損傷の中でも頚髄損傷の特徴は,首の内部の損傷であることから,呼吸の管理と熱の管理(過高熱または過低熱となるため)が,重要となります。
従って,頚椎番号で言うと1から3(これをアルファベットでC1~3と表現します。)と延髄に近い部分の骨折を伴う損傷があると生命の危険が極めて高くなるとされています。
仮に救命されても,人工呼吸器・完全介助となります。

4 頚髄損傷の後遺障害(後遺症)等級はどうなっていますか

麻痺の範囲と程度との関係では以下のとおりに判断されます。

別表第1 1級1号【常時介護:常に他人の介護を要するもの】
次の4つの場合が想定されます。
1)四肢麻痺+高度 (注:当然に常時介護を要する状態)
2)対麻痺 +高度 (注:当然に常時介護を要する状態)
3)四肢麻痺+中等度+常時介護を要する状態
4)対麻痺 +中等度+常時介護を要する状態

別表第1 2級1号【随時介護:随時介護を要するもの】
次の3つの場合が想定されます。
1)四肢麻痺+中等度 (注:当然に随時介護を要する状態)
2)四肢麻痺+軽度+随時介護を要する状態
3)対麻痺 +中等度+随時介護を要する状態

別表第2 3級3号【介護不要】
次の2つの場合が想定されます。
1)四肢麻痺+軽度
2)対麻痺 +中等度

別表第2 5級2号【介護不要】
次の2つの場合が想定されます。
1)対麻痺 +軽度
2)単麻痺 +1下肢高度

別表第2 7級4号【介護不要】

1下肢中等度

別表第2 9級10号【介護不要】

1下肢軽度

別表第2 12級13号【介護不要】
軽微な麻痺等:運動性,支持性,巧緻性,速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺。
運動障害は認められないものの,広範囲にわたる感覚障害が認められるもの。

図式的には,四肢麻痺→3級以上,対麻痺→5級以上,単麻痺→5から9級 と言えます。

6 中心性頚髄損傷(骨傷のない頚髄損傷)とはなにですか

交通事故の頚髄損傷を含めて脊髄損傷として外傷性かどうか,つまり因果関係等が問題になるのは,この中心性脊髄損傷です。
取り囲んでいる骨の傷害がないにもかかわらず,中心部分=脊髄そのものが損傷する場合です。
この点で最も重要なものは,画像所見とくにMRI所見です。
一般には,

①48時間以内の急性期においてMRIのT2強調画像で低信号があり,広範囲である。
②約1ヶ月の慢性期にMRIのT2強調画像が高信号で広範囲,T1強調画像が低信号である。
の場合には,いわゆる予後が不良で後遺障害となるとされています。
特に範囲が広ければ重症と言えます。

問題は,これらの画像所見がないと,自賠責認定で非該当あるいは14級レベルなる可能性があります。そして,訴訟をしたとしても逆転は,ほとんど困難と言えます。

 

代表弁護士岡田正樹による出版物です

ごめんじゃすまない! 自転車の事故

むさしの森 法律事務所 岡田 正樹 (著)

本書の特長は事故を起こした加害者、事故に巻き込まれた被害者の真実をもとに、それぞれの苦しみや悲しみの物語、危険運転に対する違反切符と罰則、過失の割合、賠償・慰謝料の実例、自転車用の保険、和解に導く弁護士の役目など、あらゆる面から自転車事故を解説しています。 大切なお子さんを加害者に、被害者にもさせたくない。子を持つお父さん、お母さんには必携の書です。

Amazon詳細ページへ

Linke公式Facebookページに是非「いいね」をお願いします!
「いいね!」を押すと、Facebookのニュースフィード上で士業士たちの最新記事を受け取れます。