交通事故によって,どのようにして脳損傷は発症するのでしょうか。

1,700 read.
399e69c3525561f2b96e69ef89f348e4_m

頭部外傷,そして脳損傷を発生させる外力には,おもに接触と加速・減速の2つの成分があり,それらが頚椎に支えられた頭蓋(頭蓋骨及びその中の脳)に作用します。

そのために,必ずしも頭部が物体に接触しなくとも損傷が発生することがあります。

つまり,頭蓋骨骨折が無くとも,さらに頭皮などの外傷が無くとも発生する可能性があります。

1 接触損傷とは
接触損傷(contact injury)は,圧迫損傷とも言われますが,頭蓋骨が内側へたわみ,頭蓋骨におおわれている脳が圧迫されて損傷する直撃損傷です。

加わった外力の大きさ,時間等で損傷の状態が決まってきます。

この損傷は,鈍器で頭部を殴られたような場合をイメージして下さい。

2 加速-減速損傷とは
加速-減速損傷(acceleration and deceleration injury or A/D injury)とは,
接触損傷ではなくとも,頭部が頚椎を支点として,

(1)頭部への衝撃によって水平方向に加速ないし減速される運動をする(並進加速度衝撃),

あるいは,

(2)回転性に加速ないし減速される運動をする(回転性加速度衝撃)ことにより脳損傷が発生するものです。

3 加速-減速損傷の(1)並進加速度衝撃とは
この場合には,静止している頭部に外力が加えられると,頭部には一定の加速度が作用します。
頭部は慣性の法則(いわゆるニュートンの第1法則ですね。)により元の位置にとどまろうとします。
しかし,頭蓋は加速度の作用で動きますから,脳が頭蓋内面と衝突して直撃損傷を起こします。
さらに,動いている頭部が静止している物体に衝突すると,頭蓋は停止しますが,脳は停止しないために,頭蓋内面に当たって損傷する対損傷も伴うことがあります。
これは,歩行者が転倒して頭部を道路に打ち付けたような場合をイメージして下さい。

4 加速-減速損傷の(2)回転性加速度衝撃とは
頭部が頚椎を支点として,回転性に加速ないし減速される運動をすると,脳は異なった物理的な性状を有する組織からなっているので損傷をすることがあります。

この場合には,頭部が物体に接触することがなくとも脳の損傷が起こります。

びまん性軸索損傷(DAI)をはじめとした脳損傷のメカニズムを加速・減速のエネルギー(A/Dforce)が脳の各組織間にひずみを与えて剪断力というべき物理的な力が直接的に加わることで発症すると説明するのが剪断力説と言う考え方でStrich仮説と呼ばれるものが,我が国ではどちらかというと主流とされています。

びまん性軸索損傷(DAI)とは,脳神経細胞の軸索によるネットワークが広範囲に損傷することです。高次脳機能障害の原因となります。

5 頭蓋骨骨折と脳損傷の関係はどうですか
頭蓋骨骨折がなければ脳損傷が起こらないとは限りません。この点については,既に別の記事に述べておりますので,ご覧下さい。

また,直接的な打撃が頭部になければ脳損傷が起こらないとも限りません。

それは,回転性加速度衝撃を考えれば明らかです。

頭部が頚椎を支点として,回転性に加速ないし減速される運動をすると,脳は異なった物理的な性状を有する組織からなっているので損傷をすることを理解していただきたいと思います。

 

代表弁護士岡田正樹による出版物です

ごめんじゃすまない! 自転車の事故

むさしの森 法律事務所 岡田 正樹 (著)

本書の特長は事故を起こした加害者、事故に巻き込まれた被害者の真実をもとに、それぞれの苦しみや悲しみの物語、危険運転に対する違反切符と罰則、過失の割合、賠償・慰謝料の実例、自転車用の保険、和解に導く弁護士の役目など、あらゆる面から自転車事故を解説しています。 大切なお子さんを加害者に、被害者にもさせたくない。子を持つお父さん、お母さんには必携の書です。

Amazon詳細ページへ

Linke公式Facebookページに是非「いいね」をお願いします!
「いいね!」を押すと、Facebookのニュースフィード上で士業士たちの最新記事を受け取れます。